介護の現場では、排泄ケアについてどのような悩みや不安をもっているのでしょうか。今回は東京都福祉サービス第三者評価認証評価機関で評価員をしている深谷るみ氏にお話を聞きました。
はい、もちろんします。「プライバシーが守られているか」という点などをよく見ますね。ただ、あくまでも評価ですので、具体的なアドバイスはしません。

特養の時の話ですが、洋式トイレをトイレと認識できない認知症の方がいらっしゃって、よく、部屋の隅で排泄されたいた方のことですね。やはり、生活習慣というものがあって、とくに認知症の方は過去に戻られますから、どうしても新しいものを受け入れることができないんですよね。
どうしたらいいものか…と悩んでいた時に、試しに子供用の"おまる"を使ってみたら、なんと成功したんですよ!そこで、施設長に「和式のトイレに変えてくれないか」と交渉しました。和式のトイレですと、しゃがんで立ち上がる動作が必要なので筋力を使いますよね。和式の方が難しい方もいらっしゃいますが、人によっては、それが、リハビリにもなる場合もあるし、補助するスタッフがつけば、他の方も使えるからと、1年くらい交渉を続けて変えてもらい解決することができました。
--施設では、洋式トイレが当然のようになっていますよね。筋力の衰えから考えると洋式が良さそうですが、これまでの習慣で洋式に馴染みにくい方がいるのも確かですね。
有料老人ホームの時は、排泄するごとに温かいタオルを差し上げていたんです。オムツ交換の時には、必ず温かいタオルやお湯で清拭しますけど、自立されている方たちには私たちスタッフができることって何もないんですよね。
最初は手を拭かれる方が多かったんですけど、温かい濡れたタオルでしっかり拭くことは男性に多い痔の治療に効果があったり、女性の場合はおりものが多い方がいらっしゃったりしますから、すごく喜ばれました。
男性・女性に関わらず、体の大きい方や足の弱い方のトイレに誘導する時は大変でしたね。オムツを外しているそばから、だらだら〜っと尿モレされたりして。しっかりと支えなくてはいけないし、その間もモレているし。なかなか大変です。
そうですね、股上を薄くしてほしいですね。吸収体で厚みが出るのは、しかたのないことだとは思うんですけど、履くとやっぱりゴワゴワしますから。
実際、使用されている方にも生理ナプキンのような薄いタイプが人気あります。ゴワゴワした違和感がありませんし、取り替えやすいですし。それに、女性の場合、抵抗なく買うことができるって、みなさん言いますよ。
あとはパッケージ。ナプキンみたいに華やかでキレイな柄のものが、もっとあるといいですね。メンタル的な部分を、もうちょっとサポートした商品を開発してほしいな、と思います。
個人的には、お部屋にポータブルを置いてほしくないんです。それなら、トイレを設置してほしい。仕切りがあるにせよ、誰かが戸を開ければ排泄していることが見られちゃうケースが多いですよね。
私は、トイレに行くことがリハビリになると思っていますし、「転倒すると危ないから」という理由でポータブルを置いてほしくないな、と思います。
それに、ポータブルトイレは、毎日使うものではないという感覚で、メーカーさんもつくっているのではないでしょうか? 独居であったり、介護者が不在の時など、やむを得ない場合以外は、その方が行くことのできる範囲内で車いすでも介助でも、トイレまでお連れする気配りが重要だと、私は考えています。
有料老人ホームの場合は、プライベートスペースと捉えているところが多かったです。お客様にも「自分のトイレ」という意識と、安心感があったと思います。ユニットケアが進む中で、居室は個室、トイレは共同という考えは、ちょっと納得できません。トイレは、本当にプライベートスペースですから。
10年後には、アクティブシニアの方たちがもっと増えるでしょう。これからは、そういった配慮も必要になってくると思います。
海外では、トイレも部屋もとてもキレイに飾りつけされているんですよ。日本のトイレって殺風景じゃないですか?便器やペーパーホルダーなど、まったく同じ物がついているのに、雰囲気が全然違うんです。入ると、ホッとするような感じ。
日本の場合、部屋の中でさえ「危ないから、あまり物を置かないでください」と、いまだに言うんですよね。海外では、部屋にもトイレにも、どんどん今まで自分が過ごしていた"家"を持ち込んでいます。
日本でも、ドアにお花を差すくらいの飾り付けはしますが、ちょっと殺風景かなと思います。海外の施設は、飾りつけも本当にステキで、空間の演出も上手だなと、つくづく感じました。
排泄は個々の尊厳・プライバシーに関わることです。自分自身がトイレに行くときや、もし、オムツをされて人に交換してもらうとなった時の事を考えて、相手を思いやる気持ちを大切にして欲しいですね。
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